校長 お祝いの言葉
三年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
今年は、これまでに経験のなかった国を挙げての非常事態の中での卒業式になりました。学校が臨時休校となり、不安な毎日を過ごしたのではないでしょうか。けれど、今日はこうして皆さんとともに卒業式を行うことができ、心から嬉しく思います。
皆さんは、一年生の時からとても元気で楽しむのが上手な学年でした。ハチ高原で実施した林間の夜。見事に自分たちでやり切ったレクの最後に、当時の学年主任が「君たち、すばらしい!本当にいい学年だ!」と喜んでいた姿が思い出されます。学年全体で男子が三十人近く多くとても楽しくて、少ないけれど女子はしっかりしていて、いつもどれだけ叱られても全くめげない笑顔のみなさんでした。思い出すシーンはみんな笑顔です。
とても素敵だったのが、三年生の修学旅行。ガタリンピックの泥んこまみれのあどけない笑顔です。また、夜レクで、ふだん強面の先生が「みんな大好きだー!」と叫んだメッセージ合戦。思い出すだけで顔がほころびます。体育大会の縦割りの取り組みと応援合戦は、これからの光中に新しい歴史を残しました。また十一月の、学校全体を感動の渦に巻き込んだ合唱コンクールの皆さんの歌は最高でした。先ほどの証書授与のバックミュージックは、皆さんの歌声をもう一度聞きたく、流していただきました。
歴史ある光明池と緑豊かな自然の景色、大切な仲間との思い出を胸に旅立つ皆さことは、とにかく元気で健康でいてほしいということ。この十年間、これまでの人生で経験のなかった大きな自然災害を見ることがたくさんありました。九年前の卒業式の日に起こった東日本大震災、数々の水害、中でも私たちの記憶に残るのは一昨年の台風二十一号です。一週間以上の停電で、不安な日々を送りました。そして今回の新型コロナウィルス感染。私たちを襲う目に見えない未曽有の敵との戦いの中で、自分の命を守るということの大切さと、人間の力の限界を思い知らされる日々です。しかし、そんな中でも、知恵を持ち寄り、力をあわせることで乗り切ろうとする人々の姿に感動することが多々あります。どんな困難も力を合わせて乗り越えようとする人間の力は偉大です。これこそ生きる力の根幹です。学校で学ぶことの最大の目的は「仲間」、そしてこの「力を合わせること」の大切さを学ぶことだと思っています。どうかこの先の人生でどんな逆境が訪れても、人を信じ、一人で悩まないこと。阪神大震災の時、大切な人を失い、生き残ったことへの罪悪感に苦しむ人々の心のケアに命をささげた
安 克昌医師は教えてくれました。大切なことは「誰も一人ぼっちにしないことだ」と。誰も一人ぼっちにしないこと、自分から一人ぼっちならないことは大事なことです。いつも話せる誰かをもつことも生きる力です。
これから大人に成長していく皆さんに送りたい言葉、それは「おかれた場所で咲きなさい」という言葉です。人は境遇を選ぶことはできないけれど、生き方は選ぶことができる。今を精一杯生き、どんなところにおかれても花を咲かせる心を持ち続けよう、そうすれば何かが見えてくる。という意味です。いつも不平不満を口にし、人のでかたやその環境に振り回され幸せになったり不幸せになるのはそれらのいいなりです。4月から、新しい世界で行き詰っても、今できることを考え、過去を振り返らず、前に向かって進んでいってください。とにかく、正門をでたら「前に~進め!」です。
最後になりましたが、保護者の皆さま、これまでの子育てのご苦労に心より敬意を表するとともに、3年間学校教育にご理解ご協力をいただきましたことに深く感謝いたします。このような非常事態の中で迎えた卒業式ですが、卒業後も何かありましたら、遠慮なくご相談ください。卒業生の皆さんとそのご家族の皆さんがいつまでもお元気で過ごされますよう心からお祈りいたします。
令和2年3月13日 学校長 小川 朋子